台湾鉄道旅行記(その4)

 

 

平渓線の旅

平渓線は東部幹線の侯●(石へんに同)駅から菁桐駅を結ぶ全長15.4kmのローカル線ですが、時刻表などの運行パターンで

見ると、侯●(石へんに同)駅よりも台北寄りにある瑞芳駅から菁桐駅の間が平渓線という扱いとされているようです。

当旅行記でも一般的な運行パターンに則って瑞芳駅〜菁桐駅を平渓線として書きます。

距離は短いですが、山間や集落を30km/h前後でゆっくり走るため、始発駅から終着駅まで30分以上かかります。

この路線は台北近郊にあり、日帰りも簡単にできる手軽さの割には、亜熱帯の植物が生い茂った秘境区間のような景色や、

集落の軒先すれすれを走ったりなど、日本で例えるなら飯田線と江ノ電を足して2で割ったような魅力の詰まった路線です。

乗り鉄2日目の前半はこの平渓線の旅でマッタリと過ごしました。

平渓線の旅行記は長いので、その4とその5に分けます。その1にも載せてありますが、改めて旅程を以下に示します。

< そ の 4 >

1.自強2031次列車(西部幹線)

 台北→八堵(平渓線列車の始発駅)

2.平渓線区間車

 [行き]

  八堵→瑞芳(東部幹線直通区間)

  瑞芳→菁桐(平渓線)

 [帰り]

  菁桐→十分

< そ の 5>

  ***十分老街散策***

3.平渓線区間車

  十分→瑞芳

 

 

平渓線列車始発駅 八堵へ

私が乗車する平渓線の列車は東部幹線の八堵駅が始発なので、まず台北駅から7:33分発自強号2031次列車で八堵まで向かいました。(約30分の乗車)

自強号というと、前日に乗ったのはイタリア製の吊掛電車EMU300形でしたが、今日当たったのはPPE1000形という電気機関車と客車によるプッシュプル編成の

列車でした。機関車は南アフリカ製、客車は韓国製です。

電化区間の自強号では一番多いタイプで珍しい車両では無いのですが、この独特の外観に結構惹かれました。

 

台北駅の地下ホーム、暗闇の向こうから現れたPPE1000形自強号。              

暗い所で撮るとなんか怖い・・・。

 

左: 車内の様子。 

右: 重々しいジョイント音と相まったどっしりとした乗り心地は特急形車両の魅力。

 

左: 七堵機務段の横を通過。これまた興味深い車両たちが眠っています。 

右: コタツに潜っているように車庫の中で休んでいるのはEMU1200形という自強号用の電車で 南アフリカ製。こちらもツリカケ駆動の電車特急なのです。

 

手前の厳つい顔した電車は絶滅の危機にある台湾初の電車、EMU100形。イギリス製です。

「英国婆」というあだ名がつけられています。

 

そうこうしているうちに30分の自強号の旅はあっという間に過ぎ、平渓線列車の始発駅の八堵駅に到着しました。

ちなみに、この八堵駅で台鉄の2つの主要幹線である西部幹線(台湾西側を縦断)と東部幹線(台湾東側を縦断)が分れます。

平渓線の列車の出発時間まで1時間近くあったので、この駅でしばし撮り鉄を楽しみました。

左: さっき乗ってきた自強号と同じPPE1000形。どことなくニコチャン大王を髣髴させる。

右: こちらは東部幹線の台東行キョ光号51次列車。先頭の電気機関車はE400形で、最高速度は130km/hと見た目によらずエリートなスペックの持ち主。

 

左: 今回乗る平渓線の気動車、DR1000系が到着。日本車輌製です。 

右: DR1000系とキョ光号との並び。

 

左: 到着後、回送として一旦引き上げます。その後、右側のホームに入線し、客扱いを始めます。 

右: 人気車両、太魯閣(タロコ)号TE1000系が現れました!JR九州のかもめ用885系をベースに開発された日立製の車両です。一瞬ながら日本製車両同士の競演が実現しました。

 

左: 私が立っているホームの裏側の乗り場にEMU500系がやって来ました。この乗り場は西部幹線の基隆方面の列車が発着します。

右: おへその部分に「韓国ソウル 大宇重工1996年製」という銘板が誇らしげに掲げられています。

 

 

 

日本製ディーゼルカーでいざ平渓線へ!

まずは平渓線が全体的にどんな路線なのかを把握するべく、終点まで乗りつぶしました。

先ほどの駅撮り写真でも紹介しましたが、やってきた列車は日本車輌で製造されたDR1000系というディーゼルカーで、1999年製造の新鋭車輌です。

年式が比較的新しいこと、そして何よりも手入れが行き届いているためか、内装・外観共に非常に綺麗でした。

平渓線は見所の多い路線なのでぜひとも車窓・前面展望の風景を・・・と思ったのですが、困ったことにこのDR1000系という車両、乗務員室と客室との仕切りの

窓ガラスに格子状の模様がびっしり入って視界を妨げており、前面展望の撮影をするためにはその格子模様の隙間にカメラのレンズを合わせないと撮れないという、

観光路線の景色を楽しむにはやや酷な造りでした。

ところが何と!カメラを持って景色を撮ろうと奮闘している私に気が付いたのか、車掌さんが「写真ならこちらへどうぞ〜」というしぐさで私を運転席に招き入れてくれたのです!!

おかげ様で絶好のロケーションで前面展望の写真と動画を思う存分撮らせて頂きました!台湾って何て親切な人が多いんだろう〜(≧∀≦;)ホント感謝です!

 

左: これから乗車する平渓線列車の出発案内。 

右: 平渓線の主、DR1000系がやってきました!

 

左: DR1000系の車内の様子。車両間の貫通路は名鉄の600V区間にいた770形のような形状。

右: 日本車輌1999年製造という銘板が!

 

左: 平渓線の始発駅、瑞芳に向かって東部幹線をひた走る。台湾は雨や台風の多い気候のため、どんよりとした空色になることが多い。

右: 瑞芳からは乗客が沢山乗ってくる。

 

 

前半はジャングルのような景色が展開する。日本の本州ではめったにお目にかかれないような植物も多い。

 

ここから先は運転室に入れてもらえたので景色がキレイに撮れました。

 

森を過ぎると吊橋の横を通り過ぎ、程なく人里へ。

 

路地裏をすすり抜けるといよいよ・・・

 

平渓線の名物区間、十分老街です!フェンスも何もない商店街の中を堂々と列車が闊歩します。「台湾版江ノ電通り」といったところでしょうか。

 

左: 十分老街を抜けると十分駅に到着します。

右: 何と!腕木式信号機がここでは現役!

 

後半は前面展望動画でお楽しみ下さい。

 

望古→嶺脚

 

嶺脚→平渓

 

 

平渓→菁桐

 

 

左: 終点、菁桐駅に到着。

右: 鉄道ファンもそうでない人も記念撮影を楽しんでいた。DR1000系も幸せそう。

 

駅のホームを出ると菁桐老街がある。時間があれば回ってみたかったところだが・・・。

 

ここからは十分老街の散策のため、帰りの列車に乗って十分へ向かいます。今度は列車に乗るや否やカメラを持っている私に気づいた車掌さんが

「さあさあどうぞどうぞ♪」とばかりにまたもや運転室へと誘ってくれました。

職員さんのやさしい心遣いに再び感激するのと同時に、最近の日本のように何でもかんでもすぐに規制でがんじがらめにするような空気を作らないためにも

引き続き感謝の気持ちとマナーを忘れてはいけないという気持ちを新たにしました。

 

前面展望を動画で1本と、後は写真で撮りました。

 

菁桐→平渓

 

 

嶺脚駅付近。立体的な配置の家並みは趣がある。

 

嶺脚駅ホーム

 

ちょっぴりトロピカルな雑木林の中を黙々と進む・・・

 

左: 十分駅に到着。ここで「台湾版江ノ電通り」十分老街を散策します。

右: ちなみに菁桐〜十分の乗車券。何と硬券だった!約20分の乗車で運賃は15元。日本円にして約50円。

 

 

平渓線の旅後半(その5)に続きます。

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