台湾鉄道旅行記(その1)

 

 

はじめに

前回の韓国旅行で海外乗り鉄に味を占めてしまい、2008年のゴールデンウィークにも2国目である台湾に行って参りました。

南国ムード漂うエキゾチックな景色にいながら日本統治時代の歴史を物語るような建物や駅設備なども数多く残る台湾の鉄道旅行。

韓国のときと比べてデジカメも使い慣れてきたのと3泊4日で滞在期間が1日多かったせいか、ネタが結構集まったので何編かに分けて

小出ししていこうかと思います。

 

旅程&前提説明

以下、旅程&前提説明です。ちょっと長いです。

地図には途中通過駅なども少々小まめに書きました。車窓動画の収録地点を把握する際参考にして下さい。

旅程に入る前に、台湾の鉄道について2つ前提を説明します。

1つめは、台湾国鉄である「台湾鉄路管理局」(以下、台鉄)の列車には種別ごとに独特の名前が付けられており、

日本のJR(国鉄)の種別と照らし合わせるとおおよそ

自強号・・・特急

●光号・・・急行

復興号・・・準急

区間快・・・快速

区間車・・・普通

※●:(草かんむりに呂) 以下、キョ光号と記述

というふうに紐付けられます。

2つめは、台湾高鉄(台湾新幹線)は日本とは違い民間企業で運営されており、台鉄(台湾国鉄)とは別会社となっております。

そのためか、新幹線の駅と在来線の駅が必ずしも互いに乗り継ぎのしやすい位置に建設されてはおらず、同じ駅名ながら離れたところに

あったり、また、乗換可能な駅であってもそれぞれ駅名が違っていたりします。

(地図上で新竹駅と桃園駅で在来線駅と新幹線駅を離しておいたのはそのためです。)

 

それでは、旅程に入りましょう。なお、市内観光で乗ったMRTについては恐縮ながら地図では割愛しております。

<1日目>

 1.区間車(南アフリカ製ツリカケ電車)

  台北 → 七堵 → 台北

 2.自強号1015次(イタリア製ツリカケ電車特急)

   台北 → 彰化

******* 以下、その2以降で紹介予定 *******

 3.キョ光号19次(電機牽引の客車列車)

   彰化 → 斗南

 4.復興号114次(電機牽引の客車列車)

   斗南 → 台中

 5.区間車

   台中 → 新烏日(新幹線乗換駅)

 6.台湾高鉄(台湾新幹線)

   台中(台鉄では新烏日駅)→台北

 7.市内観光

   (MRT淡水線で士林へ出かけて屋台食べ歩きとか・・・)

 

<2日目>

 1.自強号2031次(韓国製客車とアフリカ製電機のプッシュプル)

    台北 → 八堵

 2.区間車(平渓線直通の日本製気動車)

    八堵 → 菁桐

 3.平渓線区間車

    菁桐 → 十分

   *** 十分老街散策・食事 ***

 4.平渓線区間車

    十分 → 瑞芳

 5.区間車(韓国製GTO VVVF電車)

    瑞芳 → 基隆

   *** 街歩き&駅撮り ***

 6.区間車(韓国製IGBT VVVF電車)

    基隆 → 松山

  *** 駅撮り ***

 7.区間車(韓国製GTO VVVF電車)

    松山 → 台北

 8.市内観光

   (MRT板南線で市政府まで乗り、ついこないだまで世界最高層ビルだった台北101を見学)

以上

 

あいかわらず鉄三昧の旅程になっております。韓国の63ビルといい、今回の台北101といい、唯一観光として立ち寄ったのはまたしても超高層ビル・・・。

ナントカと煙は高いところに上るのが好きと言われますもんね。

 

台湾乗り鉄おっぱじめ〜七堵まで区間車チョイ乗り〜

 

目が覚めて、身支度をして外に出ると日本とは全く違う街並みが・・・。

到着翌朝の心地よい違和感も海外旅行の醍醐味のひとつと言えましょう。台北駅はホテルから徒歩5分程度でしたが、それだけでも次々に飛び込んでくるエキゾチックな景色や空気に

目を覚ますには十分な朝の散歩となりました。

 

カラフルな漢字だらけの看板、支度中の飲食店から漂う甘く温かい空気・・・エキゾチックな空気に眠気も一気に覚める。

左手前の大きな建物が台北駅舎。 

台北駅舎内。壁上部には台鉄で保有している車両の写真や絵が大切に飾られている。ちなみに列車は台鉄・新幹線共に地下ホームから乗る。

過去の名車の絵も。日本から国鉄8620形と同型の蒸気CT150形を台湾でも43両導入。

 

さて、今回の本命であるツリカケ電車特急自強号の出発まで2時間以上の余裕があったので、手始めに区間車に乗って台北から30分程度の

七堵まで行ってみました。なぜ七堵かというと、そこに七堵機務段(機務段とは日本で言うところの電車区、車両センターetc.)があるということを

本でチラリと把握していたので、あわよくば車庫に泊まっている多種多様な車両が撮れたら・・・と思ったからです。

(実際行ってみると駅からバッチリ車両が撮れる様な所ではありませんでしたが・・・。)

それにしても来た電車が何と、南アフリカ製のツリカケ電車EMU400形電車ではありませんか!EMU400形は、1990年に台鉄初の通勤電車として

4連12本製造されましたが、後に登場した韓国製VVVF車に比べると圧倒的に数が少なく、また、近年中に廃車が噂されているためかなり貴重な

車両といえます。台北近郊の運用に集約されているため、彼らの活躍範囲内であれば見かけるチャンスは割とありますが、行きも帰りも

これに当たったので幸先の良いスタートを切れた気分になりました。

EMU400形については、写真少々と一駅分の車窓動画&出発シーンを収めることが出来ました。

区間車の切符。台北〜七堵34元(日本円で120円程度)。

左: 七堵駅にて。台北に戻る列車もEMU400だった。                      

右: EMU400の車内の様子。台鉄の車両の座席は復興号以下のランクはたいていビニール張。

台北駅で初めて見たときは驚きと嬉しさのあまりに写真を撮る余裕が無かったので、写真をまともに撮れたのは七堵から台北に戻るときぐらいでした。

EMU400形 車窓動画(汐科→汐止) 中華ムード漂う風景に響くツリカケ音をどうぞ。

EMU400形 七堵駅発車シーン。最後尾からの撮影なのでツリカケ音はあまり聞こえません。

EMU400形 台北駅にて。新しい地下ホームでこうやって眺めてみるとツリカケ電車というよりはむしろ近未来の乗り物にさえ見えてしまう。

発車ベルがジリリリリ・・・!!と鳴り響いて、ドアが閉まりツリカケ音が聞こえてくる ・・・こんな近未来的な駅からは想像できない出来事を目の当たりにする。

 

あと、EMU400形以外にも七堵駅で駅撮りを少々しましたので写真をお見せします。

PPE1000形使用の自強号。南アフリカ製電機と韓国製客車のプッシュプル編成で電化区間の自強号の主力。

このあと、駅員の方に「どちらへ行かれますか?台北?それならこちらのホームですよ。」と英語で親切に教えて頂いたのでホームを移動しました。

左: EMU700形 区間快。独特の前面スタイルから現地では「スネ夫号(現地名:小夫號/阿福號)」と呼ばれている。

  初期編成は日本車両で製造されたが、甲種回送で313系とかにも逢えたのかな?

右: これでフェスタみたいに口がきけるなら「わるいけどこのビデオ、4人用なんだ」とか「ぼくのいとこがラジコンマニアの大学生でね」とか言わせてみたい。

 

EMU600形区間車。韓国製IGBT VVVF車両で、これにそっくりなEMU500形(GTO VVVF車)はたくさんいるが、こちらは少数派。

 

イタリア製ツリカケ電車特急の旅 台北〜彰化

いよいよ本命その1のツリカケ自強号に乗る時がやって参りました。

2008年ゴールデンウィーク当時のダイヤでは、松山10:08発・田中(彰化から南に6駅目)13:27着の自強1015次にツリカケ電車がよく充てられるという

情報を事前に把握していたのでこの時間まで待っていたのです。

自強号のツリカケ電車特急は3種類あり、

 ・イギリス製のEMU100形(「英国婆」のニックネームで呼ばれている)

 ・南アフリカ製のEMU1200形

 ・イタリア製のEMU300形

のうち、どれかがこのスジで現れるという見通しでした。

中でもEMU100形の方は製造後約30年経過しており、台鉄の電車では最古参で廃車も進み「もうすぐ全滅する」と予てから言われているため、

当たったらラッキーな車両なのですが、実際にやってきたのは、イタリアンのEMU300形でした。

こちらは1989年に登場した比較的車齢の若い車両ですが、運用範囲も縮小され、会えるチャンスもかなり少ないのでやっぱりいい車両に当たったことには

変わりありません。これでもかつては国内線の飛行機に対抗するために導入された最高速度130km/hのスーパーマシンでした。

現在は機器を交換され若干速度が落ちてますが、それでも日本ではいまや味わえない時速110km/h前後の爆走を体感できるのでツリカケファンには

うれしい電車です。

全車座席指定ながら、運良く電動車の席に当たったのでモーターの音を楽しむことが出来ました。

写真と車窓動画(走行音つき)も収めることができました。ツリカケ100km/h超の世界をぜひお楽しみ下さい。

左: 自強号の切符。台北〜彰化間(おおよそ東海道線の東京・静岡間と同じ距離)で416元(日本円で1500円程度)。

右: 台北駅に到着するEMU300形。

EMU300形 車内の様子。防音対策がしっかりしているためか、モーター音もさほどやかましくはしない。

板橋を過ぎると地上区間に出る。新幹線と在来線が併走する区間は全体的に少なく、このあたりぐらい。

 

板橋〜桃園間の車窓動画。上り勾配が続いているのか、モーターをわめかせながらグイグイ走っています。

 

桃園駅出発。この辺りから走りに気合が入ってきます。それにしても雨の多い気候のせいか、

台湾の景色はどこもしっとりとしております。

 

桃園〜新竹間。叫ぶモーター!後方へ吹ッ飛ぶ家並み!イタリアの情熱はダテじゃないぜ!!

 

車窓動画はちょっと一休みして、新竹駅構内で撮れた写真を紹介します。

新竹にも機務段(電車区、車両センターみたいなもの)があり、車窓からの撮影ですがいろいろな車両を見ることが出来ました。

導入ホヤホヤ?ただの回送?スネ夫君が何編成かまとめて置かれていました。

左: 旧客がいた。おそらく予備車と思われる。 

右: 一番左の蒲原鉄道っぽい車両は何者・・・?

 

では車窓動画を再開。

 

高速走行〜通霄駅到着アナウンス

 

苑裡駅出発〜高速走行

 

大甲駅出発〜高速走行

 

沙鹿〜彰化間。途中で貨物ヤードの横を通過します。このあたりで一番飛ばしていました。

 

左側に山線が見えてくると彰化も近い。行きは海線回りだったが、帰りは復興号でこの山線を通って台中まで行く。

 

彰化に到着。最後に約2時間40分お世話になったEMU300形を見送ります。

かつての日本のツリカケ特急、近鉄18000系もこんな風だったのだろうか・・・などと思いつつ。

 

左: 彰化駅でも少しだけ駅撮り。炎天下でEMU500の青色がひときわ冴える。 

右: 日本の地方都市の駅にもありそうな光景。

左: 駅構内の車庫では自強号用のE1000形が昼寝をしていた。 

右: 日本じゃあちょっと見られないデザインの機関車。スヌーピーみたいな顔だこと。

彰化駅改札。

彰化駅前の様子。このあとすぐにキョ光号に乗るのでゆっくり散歩というわけにはいかない。

 

以上で台湾鉄道旅行記その1は終わりです。その2ではキョ光号・復興号の旅、その3では台中駅、台湾新幹線を紹介致します。

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